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ロボット(R.U.R) 岩波文庫  チェペック作 千野栄一訳

「ロボット」という言葉を初めてつかったことで有名な、チェコの作家カレルチャペックの書いた作品。今から100年前の1920年に書かれた。

人造人間を発明し、工場で大量生産して安価に販売する。1体120ドル。人間の労働を肩代わりするロボットが世界中に大量に出荷される。従順に働くロボットたち、ある時、反乱を起こし人間たちが抹殺される…という、SF戯曲。

現在、人間の仕事の半分近くがロボットや人工知能で置き換え可能という予測がある。仕事がなくなった人間は何をするかという現実的な課題に加えて、ロボットが誤動作して人間に危害を加える可能性もある。

作品の中では、人造人間の研究を担当する博士が、ロボットに痛みや恐怖を感じる変更を加えて工場から出荷したことがもとで、それらのロボットが反乱を先導していったのである。反乱の原因を作ったのは、1人の人間がロボットにより人間に近づけようと変更を加えたことであり、とても興味深い。

また、ロボットたちは戦争の兵士としても使われていた。人間の指示に基づいて、殺戮を繰り返す。どんなに優れたロボットでも、人類の幸福のために使われない限り、人間にとって害になっていく。

ロボットを活かすも殺すも人間の考え方次第ということを指摘されているようである。

これからロボットの時代を生きる我々に、課題を提起する1冊である。

ちなみに、ロボットと命名されたいきさつは、作者が”人工の労働者の名前を何とするか?” 彼の兄に相談したところ、

ロボット(robot)にしたらどうかと言われて決まったそうです。チェコ語の「賦役」という意味のrobotaのaを取り除いた造語です。100年後、これほど注目されるとは想像もしていなかったことでしょう。